[読書メモ]『声、意味ではなく わたしの翻訳論』

p11
構造主義言語学が究明するのは言語の構造と性質だが、翻訳にとって問題となるのは、ことばからことばへの<置換>ではなく、テクストからテクストへの<置換>であって、ソシュールに倣えば、<ラング>ではなく<パロール>こそが考察の対象となるべきものだ。

p55
翻訳、とくに詩の翻訳というものは、旅行にもっていくものをスーツケースにつめるようなものだ、とユルスナールは語る。あるものをつめ、いやいやこちらのほうが大切だと思い直して、またつめかえる。そんな操作をくり返して、ほんとうに旅に必要なものだけを選びぬくのだ。だから、翻訳では表現できないものはかならずある。(「ユルスナールの靴」)

p63
翻訳(そしてその前提となる読書)という行為をとおして、<私>のなかに棲みついてしまった<他者の文体(と記憶)>に、どのようにしたら再度、距離をあたえることが可能になるのか。

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