[読書メモ]『翻訳技法実践論』

p13
既存の翻訳技法解説本では、そもそも翻訳とは何かといった基本的な翻訳のあり方についての説明もないままに、いきなり技法を説き始めるのが通例である。

p15
基本的には翻訳技法は汎用性が高く、どの分野にも当てはまる。

p16
翻訳を学ぶことの副次的効果(あるいは、考えようによっては、必ずしも翻訳家を目指さない人にとっては、これこそ最大の効果なのかもしれないが)は、読者にとって分かりやすく読みやすい日本語を書く秘訣を掴むことである。

p14
翻訳が成り立つためには、言語外の事柄が必要である。言語が意味する事柄、言い換えれば、伝達内容ないし意味が、言語から独立して、言語外にあるはずだというのである。

p56
「英文和訳」の「逐語訳」は翻訳者が原典テクストを理解せずに日本語に置き換えるだけの安易な方法であり、学校教育によってこれにならされているために翻訳者がともすれば陥る罠のようなものだ

p79
翻訳者は原典テクストの理解を決して曖昧なままに放置してはならない。翻訳の読者の代わりに百パーセント原典テクストを理解しなければならない。

pp95-96
どのエディションを翻訳するか、すなわち、翻訳の底本とするかということである。

p116
翻訳者たるもの、間違っても個性を出そうなどと気負ってはならない。翻訳者の美徳はもとより無私の精神である。

pp213-214
フランス語文化圏では、自己主張はすべきものであり、自己正当化は当然の権利であるととともに、美徳でさえある。ところが、日本語文化圏ではあっさり過ちを認めて反省し、何も言わないのが美徳とされる。

p217
単純化して言えば、フランス語は名詞を好む言語であり、日本語は動詞を好む言語である

p222
全体をどのような文体で訳すかは、ほとんどその翻訳の成否を決しかねない重大事である。

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